帰宅時、某所にて私は駅前にある「近隣地図」を見ていた。完全に道に迷っていた。「大通り沿いなのですぐ」だったのですが、大通りを行くか戻るかを調べ忘れただけです!

そんな折、自分の横で
「写真とってください!」
という声がした。その面々はしゃがみ込み、近隣地図の横にいながらにして記念写真をとっていた。

「がんばってください~」
そう言って握手をして手を振りながら去っていった家族たちを見送っていた人物は、マギー審司さんだった。他の仲間は恐らく誰もいない。一人で募金箱を手にして、駅の目立たないところにひっそりといた。

東北大地震の犠牲者の話題になると、マギー審司さんはよく登場する。親戚を何人も失っているからだ。
でも、まさか、自分の横でたった一人で募金活動してるなんて思わないじゃないか。

というわけで、確認をした。
「…マギーさんですよね?」
「はい」
そう言ってマギーさんはこちらを向いた。
その顔は、いつも笑点や師匠とのショウで見せているちょっと抜けてる感じの笑顔ではなかった。真剣な目つき、笑顔は一つもない。
「お金、入れさせてください」
ごそごそと財布を取り出す。残念ながら一万円札しかなく、私も割と「義援金貧乏」であったので、申し訳なく思いながら有り合わせの小銭をじゃらじゃらと詰め込む。
「ありがとうございます!」
たかだか数百円だったのに、マギーさんは丁寧にお辞儀をしてくれた。
「ワタシ、青森出身なんです。青森県にも被害はあったけど他に比べたら全然だ、東北のみんなを応援する方です」
そう告げると、少しだけマギーさんの顔は明るくなった。けれど厳しさは変わらない。どうしたもんか。
「東北魂!」
わざとらしく私は元気に言って、手を出した。
「みせてやりましょう!」
ガッツポーズをとりながら、マギーさんはちょっと笑って握手をしてくれた。
その手はとても冷たくて、とてもかたくて、荒れている気がした。冷たさから、長い事立っていたのが伝わってくる。

その後、おばあちゃんがやってきた。
「あたしね、あなたの師匠の名刺持ってるのよ」
そんな話をし始めたおばあちゃん。
それを真摯に聞くマギーさん。

弟と話した時、都心の人達にとって今回の地震は「アトラクション」に近いのではないか?とどちらも考えていたことに驚いた。
「だってあいつら、何も考えてねえもん!どんだけ危ないかわかってねーもん!」
弟はそう言った。
色々な報道が流れているが、実際、みんなどれだけの恐怖を覚えているのだろう。
テレビからの映像を見て、「【閲覧注意】被災地の写真」を見て、どれだけの人が「自分たちの国で起きたこと」だと認識できているのだろう。

私たちは小さいころ震度5(当時)の地震に遭ったことがある。母親は私たち姉弟二人をかついでトイレ(便器にでなく、部屋ねw)に投げ込んだ。一番骨組みがしっかりしているところだからだ。その後自分が入って、私たちに覆いかぶさった。周りのものがガタンガタンではなくて、ガコガコと音を立てていたのを覚えている。
その後部屋を見に行ったら、テレビが壁の端からちょうど居間の中央にまで移動していた。たまたまコンセントは抜けず、放映されていた生ダラが地方ニュースに切り替わっていた。もちろん積んでいた本なんかはバラバラ。
もちろん今回の大きさとは比較にはならないのだけど、弟もこの時の記憶が強いから地震にはセンシティブなんだろう。

マギーさんは間違いなく「芸人」であるアドバンテージを用いて募金活動をしている。それは間違いない。でも、「被害者」でもある。それも間違いない。
だから、いつもの「町を芸能人が歩いてた!」ってな感じじゃいけないと思うわけです。じゃあどうせーっちゅうんじゃ、って言われると困るんだけど。
今の彼に街頭で「自分たちを喜ばせてくれ」ってオーダーするのは、彼自身が不幸のどん底にいる時なのでとても難しいことだと思うんです。だから、逆に自分たちが彼を少しでも励ませることを返せるようになりたいな。そう思いました。なので、さっきの「東北魂」を実行してみたわけです。いまいちだったけど。

恐らく、今日も各所をマギーさんは回ってらっしゃると思います。陰ながら(ほんとブログだけなんで陰だけど)応援させていただきます。
そしてついに石原プロの炊き出しも始まりました。
我々も、東北魂を見せてやりたいものです。どうしたもんかは浮かばないのだけど。

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