ドラクエ10がオンライン専用です、というわけでWiiください。とお伝えしたら酔っ払いの父親にめっさ怒られました。
とんだとばっちりです（後者のせいかもしれません）が、そこからゲームとは何ぞやを考えるところまで深い話になった（酔っ払いって怖いですネ）ので、今回はそれをご紹介したいと考えています。
※聞いて以来だいぶ経っておりますので、私の中でﾄｰﾁｬﾝｶｯｺｲｰ成分が追加されている可能性がございます
□オンラインなんてのは、俺らにはツラいよ
まず父親はこう言いました。そりゃそうだと思います。
還暦間近のシャイなおじさんは、高校生たちとフラットに遊ぶなんてできません。
と、まで勝手に考えていたんですが、続きを聞いたら全然違いました。
「嫌なんだよ。俺は、「ドラクエ」をやりたいわけ。分かる？」
ナンバリングタイトルでオンラインといえばFF11がすぐ浮かびますが、あれも結局現在のところは「ユーザ同士の作るストーリー」ですよね。その中でコミュニティができ、友人関係、果ては結婚まで進んだ人たちもいるということは、よく知っています。
父親はそうじゃないんです。「ドラクエ」という「物語」の枠に浸りたいのです。そこに一切他人は介入しません。彼は勇者となり、彼なりの解釈で物語を噛み砕き、喜び、悲しみたいのです。ありきたりな物語かもしれません。ただ、それをRPGにおいてありきたりにしたのは、他ならぬドラクエなのです。そしてそれを、父親のような世代は求めているのです。
「それをさ、かーっ、オンラインってさ、ふざけんなっつーの。全部人任せなわけよ！？」
人任せかよ、という言葉は最高にぐっと来ました。
某エライゲームクリエイターが「オンラインにしたら面白いのは当たり前だ」という話をしていたと思います。
父親は酔っ払いのくだまきの中で、暗にそれを語ってしまったのです。
まったく、末恐ろしいおじさんであります。
□ドラクエのメインユーザ層ってどこなんだろう？
ドラクエ9の公式サイトである程度のデータが発表されています。
こうしてみると、確かに初期設定のままの人が多いように見えます。
ロクサーヌは「60代以上の数字」をピックアップして、「こんなにも多くの」と表現しています。
初期設定の人がこれほど多いのはなぜでしょうか？もちろん、自分の情報を隠したいから、というのもあるでしょう。
しかし、それだけでしょうか。例えば、「すれちがい通信についていけず、初期設定のまま」の人がいるとしたら、どうでしょう。
私たちはちょうどドラクエ世代と呼ばれる年齢層にいます。それはもう、間違いありません。誕生日のプレゼントといえばドラクエでした。女らしさとかそういう気にする暇もなく、値段の関係でイベントごとでも利用しないとねだれなかったんですね。
ところが、一番やりこんだのは父親でした。そういう家庭は多いはずです。そして、我が家で一番ドラクエを愛しているのもまた、父親です。こういう家庭も多いんじゃないでしょうか。折しもドラクエ9発売当時は脳トレブームでDSをプレゼントするのが流行っていましたね。それで、いくら教えても無線LAN用意しても結局ネット接続してくれなかったりして。
つまり、「ドラクエ9をプレイした団塊の世代は、実はものすごく多い」と思うんです。そして、我が父親のようにオフラインでできる分をプレイしたあと手を付けていない人がほとんどだと思うのです。彼らにとって「物語のエンディングを見ること」はゲームの終了を意味します。クリア後のやりこみ要素とかはどうでもいいってことですね。
そのため、当時9に対する父親の評価は低く、8を強烈に勧められる日々が続きました（笑）。
あ、「いやいや、すれ違ったことねーから」っていうのはナシで。ﾄｰﾁｬﾝたちはゲームは家でやるものだと思っていますから、DS持ち歩きません。ちょっと持ち歩いても、自分ですれ違いチェックするの恥ずかしくて私によこすような状態ですから。
□んじゃ、上の世代がプレイしてるゲームってどんなのなわけよ
有名なのは鈴木史朗さんのバイオハザード、加山雄三さんの鬼武者、大山のぶ代さんのアルカノイドでしょうか。
これらに共通しているのは、「わかりやすい」ことだと思います。
バイオ・鬼武者は悪いやつをぶった切っていけばいい。勧善懲悪、でも悪役もいい味があるとか鈴木史朗さんはおっしゃっていましたっけ。
アルカノイドは目の前にあるブロックをひたすら壊していけばいい。これはｶｰﾁｬﾝがドクターマリオだけはやりこんでいた現象と近いものがある気がします。どちらかというと、上海とか、ソリティアとか、そちらに近いのかなあと。
ここに、ドラクエは間違いなく入っていました。
でも、それをドラクエ10は破ってしまいました。人に委ねられる（あるいは、人がいないと成立しない）ストーリー展開は今までのドラクエユーザ（団塊）には最も望まれていない進化に違いないのです。
□そこを吸収するのは誰だと思うわけよ
ずばり、世界樹です。(ﾄﾞﾄﾞｰﾝ
ごめんなさい。我が家だけでした。ただ、古代祐三氏による音楽に始まり、あえてレトロ感を出し、分かりやすい話に抑えてあり、ウィザードリィと似たシステムを汲んでいる世界樹は、敵が鬼畜なことすら父親には受け入れられました（昔のゲームバランス酷かったからね）。
ただ、コレにも難癖をつけていて、それは「攻略情報がなきゃクリア不可能なところがある」こと。攻略情報を見ることはギブアップと同義なのです。自らで考えて考えて詰めていく楽しみがよいらしく、ギリギリで何も見ずに勝てるくらいの難易度にしてくれればなあ、と。
酔っぱらいは最終的に「俺は世界樹派になるぞー！スクエニ株売ってやるー！方眼紙買ってくるぞー！キミ知ってる！？方眼紙！」とか言い出したので、母親に強制交代されました。
ちなみにスクエニ株はIPOの頃からずっと持ってるもの。「ドラクエがある限り売らん」と言ってたもの。…どこまで本気かわかりませんけどね。
□それでも「ドラクエ」は愛され続ける
たとえゲームをプレイすることができなくても、父親の中には1～9までのドラクエの思い出がてんこ盛りになってるわけです。例えばスライムを見たらつられて笑顔になったり、強かった敵は覚えていたり（そんな理由で、2の最後は強烈に記憶に残っているそうです）。
スクウェア・エニックスの方、関係者の方、見ていたらお願いです。
コラボレーションとか、正直どうでもいいんです。
父親の数少ない楽しみの一つに、あなた方のプロダクトが何十年も入っているのです。
「普段通りのドラゴンクエスト」の新作を、父親に今一度与えてやってはもらえませんか。
別にシルバーモードなんて作らなくていい、かえって怒ってしまう。そのままで、いつもの調子でいいんです。
小難しくない、入りやすい、いつものドラゴンクエストを見せてやってください。
11はオフラインと噂に聞いております。ぜひ、ぜひ、お待ちしております。
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